『ニートの歩き方』

 
 
お正月の休み明けにNHKの教育テレビに出演されていた、
京大卒・ニートの phaさんの本を読みました。
 

 
*ニートとは*
学校に通わず、独身で、収入を伴う職業についていない(労働意欲に欠ける)若者のこと。
内閣府の定義では、15歳から35歳までを対象としている。 (三省堂の辞書より)
 
 
 
『ニートの歩き方』は、phaさんが実践している
「あまり働かない生き方」について書かれた本です。
2012年8月に出版されました。
 
「かつての僕と同じように「人間はちゃんと会社に勤めて真面目に働いて結婚して
幸せな家庭を作るのが当たり前の生き方だ」という社会のルールにうまく適応できなくて
しんどい思いをしている人が、いろいろな生き方があると知ることで
少しでも楽になればいいな、と思って書いたものだ。 (『はじめに』より)」
 
インターネットの発達により可能になり、そして
その大部分がインターネットに支えられているという 彼の生き方について、
人との関わりかた、経済のやりくりのしかたから、
どのようにしてたどり着き、先々をどんなふうに展望しているのか まで、
各章にわけて、具体的かつ丁寧に書かれています。
 
・第1章 ニートのネットワーク -僕がニートになった理由
・第2章 ニートの日常風景 -コミュニティとゆるい生活
・第3章 ニートの暮らしかた -ネット時代の節約生活法
・第4章 ニートのこれから -社会・人間・インターネット
 
 
主に その生活を楽しんでいる様子が書かれていますが、
一方で、ニートという立場を貫くには、恋愛、結婚、子育てが難しい点にも、
ネガティブな捉えかたではありませんが、触れています。
中でも、一番厳しいかもしれないのが老後だそうです。
金銭的な備えが見込めない分、居心地はよいけれど血縁ではなく、
義務も約束もない現状のつながりを、助け合い関係にまで築けなかった場合には、
相当悲惨な状況に陥る覚悟が必要なようです。
 
でもphaさんならば、進む道の途中できっと、ベストな解決策を探し当てて、
提示してくれそうな気がします。
 
 
書かれていることが心に入ってくるのは、
彼が ただ楽をして稼いで、嫌なことから逃げ続けたい、からこの道を選んだのではなく、
子供の頃から、学校生活に適応できない自分に悩んだり、
既存の社会の仕組みや枠に苛立ったり絶望したりし続けてきて、
学生生活の後、会社員生活もして、20代の終わりにようやくたどり着いたという、
人生に真摯に向き合っている姿に、励まされるからだと思います。
 
きっと、大切なのは そこなんですよね。
生きることについて、とことん考え抜いて、心が本当に望む道を進んでいく。
さらに、うまくいくように努力と工夫を続けていく。
悩んで考え抜けば自分にとっての幸せがわかり、実現できるのだ、という希望が
見えてきます。
 
 
働くことに さまざまな考え方、やり方があることについて、
ニートの人も、そうでない人も含めた社会全体がもっと寛容になる中で、
これまでにはない、新しい概念の仕事が生まれていったら素晴らしいな、と
そして、どんな生きかたを選んだとしても、
自分の人生を大切にすること、あたたかい繋がりという支えを信じることによって、
人はもっと強くなれるし、幸せになれるのだ、と思いました。
 
 
 
 
*phaさんのプロフィールなどは、NHKの番組サイト
 『ブレイクスルー File.46 自分の幸せは、自分で決める ―ニートのカリスマ phaさん―』に、
 コンパクトにまとめられています。
 
*『幻冬舎plus』に、2015年5月に同社から出版された
 『持たない幸福論 働きたくない、家族を作らない、お金に縛られない』 の紹介を兼ねて
 その生き方、考え方についてのご本人の文章を掲載しています(現在は登録なしで読めます)。
 ・6月25日公開の前編「生きるのがつらい人が多すぎる
 ・同28日公開の後編「「普通」の縛りから抜け出せば、もっと楽に生きられる
 
 
 
 
***  ***  ***
 
 
こちらはシュンの お勧めの本です。
 

 
 
 
 
   イーストプレス社
   『よりみちパン!セ』のサイトから
   画像をお借りしました。

 
「ロボットは東大に入れるか」は、
この本の著者である 国立情報学研究所(NII)の新井紀子教授を中心に、
2011年4月にスタートした、人工知能(AI)のプロジェクトです。
・2016年度までに大学入試センター試験で高得点をマークすること
・2021年度に東京大学入試を突破すること  
AIの「東ロボくん」は、この2つを目標に がんばっています。
 
本は、AIに詳しくなくても読めるように、わかりやすく書かれています。
「現段階では問題文の意味を理解するのが難しい」など
人間とはまた違った得手不得手を抱えながら成長していく 東ロボくんの様子が
なんともかわいくて、読み進むうちに親しみが増していきます。
わくわくする、夢のあるプロジェクトです。
 
ただ、残念なことに現在はインターネット上では販売されていません。
シュンが「家に置いておきたい!」というので、書店を探してもいますが見つかりません。
絶版でないといいのですが・・。
 
 
インターネットで調べたところ、2015年11月14日に発表された最新の状況は、
同年6月実施の(株)ベネッセコーポレーションの“進研模試 総合学力マーク模試”に挑戦し、
5教科8科目で511点(全国平均416.4点)を獲得し、偏差値は57.8だったそうです。
特に「数IA」で偏差値64(前年46.9)、「数IIB」で65.8(同51.9)、
「世界史B」で偏差値66.5(同56.1)と、計3科目で偏差値60を超え、
前年を大きく上回る成果を収めたとのことです。
 
また、論述式で行われる2次試験に向け、
駿台予備学校「東大入試実戦模試」の一部科目も受験、初めて世界史に挑戦して、
偏差値54.1を記録しています。(無回答欄もあるところが 人間っぽいです^^*)
 
東京大学入試を突破する目標の2021年まで、あと5年。
がんばれ、東ロボくん^^!
 
 
 
 
*「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトのホームページはこちらです。
*最新状況についての(株)富士通研究所のプレスリリースはこちら
 ITmediaの記事はこちらです。
 
 
 
 
***  ***  ***
 
 

  phaさんがあとがきの最後に
  書かれていた言葉から、
  カイトが帰って来たときのことを
  思い出しました。

P☆snapshots 29
 
不安を消し去ることは難しくても、
新しい技術と価値観を手にする未来、希望に満ちた未来は確かに開けていて、
私たちは、その入り口に立っているのだという気がします。
 
明るい気持ちで進んでいこうと思います。
 
 
 
 

『よりみちパン!セ』から

 
 
今年のお正月は、春のように暖かくて過ごしやすかったですね。
 
おかげで、スーパーの年末特売(3割引きでした☆)で買い込んだ
ハーゲンダッツのアイスクリームを 毎日のおやつにできて、
幸せいっぱいの、年のはじまりを迎えることができました^^♪
今年も、おいしいお菓子をいっぱい食べて、元気に過ごせそうです・・*
 

イチョウの間から、夕焼けがよく見えるようになりました。
 
 
 
 
冬休みに、『よりみちパン!セ』シリーズの本を読みました。
 
『よりみちパン!セ』は「学校でも家でも学べない いまを生きていくための知恵」を届けたいと
2004年に理論社から創刊された、中学生以上向けの教養書のシリーズで、
2011年に、前年民事再生法の適用を申請した同社を継いでイーストプレス社が復刊し、
現在は、64巻まで出版されています。
(イーストプレス社のページはこちらです→『よりみちパン!セ』)
 
それぞれの分野の第一線で活躍されているかたがたが、主に中学生に向けて
読みやすく分かりやすく書かれたこと、そして、分野も多岐に渡っていることから
社会についてのさまざまな視点、考えかたに触れられそうだと思いました。
 
 
私は数年前 大変な目にあって、人やお金や色々なものを失ったのですが、
振り返ってみると、乗り越えることができたのは 力になってくれる人に恵まれたからで、
自分自身は、40年生きたにも関わらず 情けないほど無力でした。
 
それで、学んでこなかった社会や人のことを、一度しっかり考え直したくて、
先入観にとらわれずに手にできるような本を探すうち、このシリーズに出会いました。
各巻末には、谷川俊太郎さんから著者への4つの質問とその答えも掲載されています。
気になるものを図書館で予約して、届いたものの中から、以下を読みました。
 
 
(読んだ順に)
1.「みんなのなやみ」 重松清 著
2.「バカなおとなにならない脳」 養老孟司 著
3.増補「ザ・ママの研究」 信田さよ子 著
4.「コドモであり続けるためのスキル」 貴戸理恵 著
5.「この世でいちばん大事な「カネ」の話」 西原理恵子 著
 

 
どれも、読みやすいのですが内容も深いです。
 
1.「みんなのなやみ」
 「がんばる」意味、いじめについて、親や先生や友だちとの関係、将来のことなど、
 どこまでも子供に寄り添って考え抜いた答えが提示されています。
 悩んで苦しんでいいのだと、そして、悩みとの付き合いかたも教えてもらいました。
 「Ⅱ」もあります。
 
2.「バカなおとなにならない脳」
 養老さんのあの語り口のまま、平易に読みやすく書かれています。
 五感で触れる「現実」 から遠ざかった今の社会が子供たちの心をもろくしているのだと、
 それは大人のせいであり、大人がなんとかしなくてはならないということ、
 そして、「生き物である人間」という視点の大切さを繰り返し説いています。
 
3.増補「ザ・ママの研究」
 母親という存在のかけがえのなさゆえに苦しむ 多くの娘たちのカウンセリングの経験から、
 母親に好奇心を持ちながらも距離をとることが大切であること、そして、母親のタイプ別の
 「傾向と対策」を教えています。
 確かに母親は、「子のためを思って」さえいれば、やり方は不問とされているところがあり、
 そこに潜む支配や依存の、子への悪影響の可能性を、あまり問題視されることはありません。
 その現実を示した上で、だからこそ、投げかけられる言葉、定められたルールや罰則について、
 子供の側から冷静に考察することの必要性を説き、勧めています。
 付録として「ザ・パパも研究」も載っています。
  
4.「コドモであり続けるためのスキル」
 貴戸さんは、小学校のほとんどを不登校で過ごし、現在も自身の生きづらさと、
 生きづらさを抱える人たちに向き合い続けている、私よりも若い世代の社会学者です。
 最近、不登校や引きこもりの人が直面している問題として「発達障害」がよく取り上げられますが、
 学校へ「行けて」いる人を「健常」と呼ぶことのあやうさについて、考えさせられました。
 優劣でなく異質という理解、それぞれ違っていて当然という視点が広がって根付いていくよう、
 私も努力していかなくては、と思いました。
 
5.「この世でいちばん大事な「カネ」の話」
 予約が埋まっていて、年末ぎりぎりで順番が回ってきました。
 自身の育った環境と経験から、お金のことを、社会の暗い面を見据えて書いています。
  - 人って、生まれた環境を乗り越えることって、できると思う? -
 西原さんの本を読むといつも言葉にできない感情でいっぱいになるので、以下を抜粋します。
 「生きていくなら、お金を稼ぎましょう。
  どんなときでも、毎日、毎日、「自分のお店」を開けましょう。
  それはもう、わたしにとっては神さまを信じるのと同じ。
  毎日、毎日、働くことがわたしの「祈り」なのよ。
  どんなに煮詰まってつらいときでも、大好きな人に裏切られて落ち込んでるときでも、
  働いていれば、そのうちどうにか、出口って見えるものなんだよ。
  働くことが希望になる -。
  人は、みな、そうあってほしい。これはわたしの切なる願いでもある。 (おわりに)
 
 
他に小倉千加子さん、中村うさぎさん、みうらじゅんさん、平松洋子さん、などの著書もあります。
みうらさんの「正しい保健体育」(やはり「Ⅱ」もあり 人気のほどがうかがえます^^)は、
シュンの前では難しいので^^; こっそりとですが、読んでみたいと思います。
 
そして、こういう 心の深い部分に触れるような本を直接進めることは
踏み込み過ぎかもしれないので、シュンにはしませんが、
いつか苦しいとき、生きづらさを感じたときに、私が読んでいたことを思い出すなど、
どこかで助けになればいいな、と思っています。
 
 
 
読みながら、たくさんのことを考えて、(西原さんの本ではいっぱい泣いて)、
私は今年を、「人生の後半に向けて準備を始める年」にすることに決めました。
 
人生100年。まだまだこれからです^^*
50歳になったときに、笑顔で後半人生のスタートを切れるように、
ここから、一からの気持ちで、さまざまなことを学んでいきたいです。
 
 
 
いつも読んで下さってありがとうございます。
今年も、どうぞよろしくお願いいたします。
 
 
 
 
 

最近のことなど*

 
 
朝晩が冷えるようになってきました。
すっかり 秋ですね・・*  
今年はりんごも柿も梨もおいしいので、お菓子を控えて毎日食べています。
悔いなく 食べ尽くしたいと思います~^^♪
 
本日は、9月にご紹介した2つの記事についてのその後のことなどです*
 
 
*『男をこじらせる前に』*
9月19日のこちらの記事でご紹介しました湯山玲子さんの本。
読み終わってからも、色々と考えています。
変わっていく社会の仕組み、男女の関係性を前向きに受け止めようと、
さまざまな提案をして下さっていて勉強になりました。
 
男女問わず、これからの時代は、
・人の評価から離れて、好きなことを見つけられる目
・家事がひととおりでき、働いて給料を得られる生活力
・上の2つにも重なりますが、「一人で暮らしていても毎日が楽しい」という人生観
が大切なのかもしれないと、今は考えています。
 
社会がどんなふうに変わっていくとしても、そのことに少し戸惑っても
振り回されることなく、しなやかに強く明るく生きていく。
自分もシュンも、そうあれたらいいな、と思います。
 
 
 
*大学いも*
P☆snapshots 147 の終わりでご紹介した大学いも。
カリカリを目指して その後もトライしています~^^*
 
ポイントは水分のようで、
・水にさらさず、レンジでチン → 少しぱさつくけれど、飴はパリパリ
・水にさらして、2分ゆがく  → 飴までしっとり
・水にさらして、レンジでチン → 飴がややしっとり
仕上がりに差が出ることがなんとなく分かってきました。
 
調べると、さすがクックパッドにはたくさんのアイデアが載っていて、
・酢を使うとくっつかず、パリパリになる。
・飴をつけたあと、冷水につけるとパリパリになる。
などなど、すごい技がいくつもあります。
引き続きがんばります*
 

ただ私は、写真のような「しっとり飴」が好きになってきたんですよね。
シュンも、最初は「柔らか過ぎるよ~」と言っていましたが
最近では、「これも、おいしくはある・・」などと言って
パクパク食べていたりして。
 
「中はしっとり、やわらか飴」タイプも目指してみようかな、と
考え中です^^*
 
 
 
 
 
***  ***  ***
 
 
今週4日(日)に「ブログの更新日変更のお知らせ」を更新いたしました。
 
 
数年前、私たちは ある事件に巻き込まれました。
それは 厳しく辛いできごとでした。

諦めるしかなかったことが たくさんあります。
でも、少しですが、そばに残ってくれたこともあります。
今、全てが終わったわけではありませんが 生活が落ち着きを取り戻して 思うことは、
本当に大切なものを手にしている自分は、幸せだということです。
 
たくさんのかたに助けていただき、励まし、応援していただきました。
ありがとうございました。
 
制作を続けていける喜びを日々かみしめながら、一歩ずつ前に進んで行きたいです。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします。
 
 
 
 

電子書籍版に決めました。

 
 
発売されてから2ヶ月経った今週、
『村上さんのところ』をようやく購入することができました・・*
 

 
村上さんのところ』は、
今年の1月下旬から5月上旬までの119日間に渡って公開された、
村上春樹さんの期間限定公開サイトです。
 
1月15日から 31日の17日間限定で質問、相談を募集したところ
なんと3万7465通も届いたのだそうで、村上さんはその全てを読まれた上で
3716通に返事を書かれ、うち3331通が公開されていました。 
それが、7月24日に書籍として発売されたのです。
 
ただ、私にとって悩ましいことに、
発売されたのは通常の書籍版と電子書籍版の2種類で、
・書籍版:村上さんが選んだ473通に、フジモトマサルさんのイラストマンガ51点も収録。
・電子書籍版:村上さんが回答された全3716通を収録。
と、それぞれに 魅力があるのです。でも、473通は同じ内容なんですよね・・。
 (詳しくは、こちら新潮社のサイトに説明があります。)
 
フジモトマサルさんのイラストも素敵だし、紙の本はそばに置いておける・・。
でも、村上さん初(国内で)の電子書籍版でしかも3716通全てが収録もすごい・・。
と、心は千々に乱れ^^;、なかなか決められずにいたのでした。
 
 
ですが今週、三省堂書店でレシートと一緒に渡された小さなチラシのおかげで心が決まりました。
なんと、「入会時に限り、お好きな電子書籍1冊を半額で購入できます」と書かれていたのです。
発刊後間もない本なのに・・?と半信半疑でサイトを見てみたら、確かにそうでした。
三省堂書店限定!新規入会キャンペーン
調べてみましたら、電子書籍は、物ではなく情報とみなされているので、
再販制度は適用されないというのが、公正取引委員会の見解なのですね。
 
私はこれまで、電子書籍を購入したことがありません。
数年前家電店で見た記憶のまま、
専用端末かスマートフォンの小さな画面で見るものだと思っていて、
手間や小ささ、出費を考えると、わざわざ電子書籍を選ぶ必要はないかな、と思っていました。
ですが今は、どんな端末でもOKになっていて、オンラインならブラウザで、
アプリをダウンロードすればパソコンでも読むことができるのですね。
 
さっそく、BookLiveで『村上さんのところ』を探して、
アプリをダウンロードし、パソコンで「立ち読み版」を読んでみましたら、
目次を探したり、ページ送りをクリックで操作したりすることに慣れる必要はありますが、
読めそうだと感じました。
3716通全部読めるし、どうしても馴染めなかったとしても半額だし、
何より、新しいことはなんだかわくわくしていいなぁ・・*ということで、購入しました。
夜の入浴前に数通ずつ楽しみに読んでいます。
 
 
ただ 本音では、やっぱり紙の本がいいな、と思います。
その世界が手の中にある感じ、機械的じゃない手触りのあたたかみ・・。
Skypeがいくら便利でもやっぱり傍にいるのがいちばん、と思うことと 同じかもしれません。
自分にとっては、そこはまだ結構大事なことかもしれない、と思いました。
 
とはいえ、3716通です。
サイト公開中は3分の1も読めませんでしたが、それでも 世の中にはこんなに多くの、
さまざまな視点、悩みがあるのだと、考えさせられることもたくさんありました。
読み終わるころには、自分の価値観もまたいくらか変わっているかもしれません。
 
そのことも 少し期待しながら、読んでいきたいと思います・・^^*
 
 
 
 
*5月の記事「『村上さんのところ』と村上春樹さんのこと」はこちらです。
 
 
 
 
 

『男をこじらせる前に』

 
 
「女子をこじらせる」とは よく耳にするのですが
男性も?・・と少し意外で予約した 湯山玲子さんの本。
今年1月に発売されたものです。人気で、2ヶ月ほど待ちました。
 

 
目次を公開しているサイトがないため 記載できませんが、
最初に村上春樹さん、最後に坂本龍一さんに触れて説明されているという章の構成も
大変興味を惹かれる、嬉しいところです^^*
 
 
 
思春期に入ってきたシュンと向き合っていくには
私自身が、自分の頃とは大きく変わってきている今の社会について知っていないと、
方法論だけでは説得力がないし、本当にシュンの幸せにつながるかの自信も持てない・・。
そう感じて、夏ごろから少しずつ、
上野千鶴子さん、山田昌弘さんの本を読んで 勉強させてもらっています。
 
湯山さんのことは、上野千鶴子さんとの共著
快楽上等!3.11以降を生きる(Amazonにリンクします)』で知りました。
それまでは漠然と、雑誌などでサブカルチャーを歯切れよく語る人、という印象でしたが、
言葉をたくさん詰め込んだ説明にも、きっぱりとした言い方にも愛情の深さが感じられて
素敵だな、と思いました。
 
 
今、半分ほど読み終わりましたが、
1つ1つが丁寧に書き込まれていて、読み応えがあります。
「村上春樹」「おぎやはぎ」「マツコ・デラックス」と
イメージしやすい人物と現象から語られているので、
実感としては分からない部分も想像でき、
今の時代の男の子、男性ゆえのしんどさが分かってきました。
また、女性にとっても考えさせられることだと感じました。
 
例えば今の時代は、
男女の差がさまざまな点でどんどんフラットになっている(P.68)一方で、
「女性全般に対する愛と尊敬」が根底にあるような愛情の持ち方が、
男性にはまだまだ難しい、だから苦しいということが こう説明されています。
概念だけでなく、この後 具体例が示されていくので分かりやすいです。
「母性社会と言われる日本だが、そこで理想とされる女は母親と同義語であって
息子のために自分の欲望を捨て、滅私で仕える献身的な、母のような女性にほかならないが、
その一方でその尊敬には常に裏腹の軽蔑がべったりと張り付いてもいるからだ。(P.100)」
 
思い当たるところはありますし、
長々と続いてきた家父長制や男尊女卑の考えから完全に離れるのは難しく、
無意識にも人を支配するのかもしれない、ということを考えます。
そしてそれは、私たち女性の側にも当てはまることのような気もします。
NOというよりもむしろ、積極的に受け入れてしまうようなところが
私にはあります。
 
この章では、今は 本当の意味で対等になっていく過渡期だから、
無意識なまま受け継がれ染みついた考え方と現実とのズレの中で
関係が上手く育めないことが多いのだ、と分かりました。
 
 
シュンにはどう育ってほしいか・・の考え方のヒントを増やしたくて読み始めたのですが
同時に自分についても考えながら読み進んでいます。
湯山さんの、愛情をもって伝えようとする思いの深さが随所に感じられて、
実は、Amazonの辛口レビューにひるんで^^;借りたのですが、購入することにしました。
好きな人の本は、そばに置いておきたいです・・*
 
 
 
大人、子供、父親、母親、男、女、など
「○○とはこんなもの」という、これまでならば当然とされてきた姿、役割が希薄になり、
それをまとうことなく、個人がむき出しの姿で世の中に対峙させられるのが
今の時代なのですね。
愛情関係は自分だけの考え方ではどうにもならないから
「型」がないことは、疑心暗鬼を生むことにもなり、時に苦しいです。
でもできれば、人と人とが本当に深く結び付くということを考えさせてくれる、という点で
幸せな変化であると、受け止めたいな・・。
 
そういうことも、湯山さんの明るいパワーに後押ししてもらえそうで、
楽しみにしながら読んでいこうと思います。
 
 
 
 
 
***  ***  ***
 
 
フェルト羊毛のふわふわ感が好きで、
時々小さなマスコットを作っていたのですが、
夏休みから、久しぶりに夢中になっています*
 
根気よく ちくちく刺していけば
小さなものから大きなものまで、
粘土のように自由に形を作れるところが面白いです。
 

 
この秋は、時間が取れそうなので
編み物以外の手芸も楽しみたいな、と思っています。
 
 
 
 
 

腕時計と『ヴァンテーヌ』

 
 
早いもので8月も、残り2日となりました。
のんびりしていたのに、過ぎればあっという間に感じられて、
なんだか不思議です。
 
 
この夏休みは、ひとりでいることが多かったので よく眠りました^^*
また、本を読んだり、毛糸を分類し直したり、など
したくてもなかなか出来なかったことをして過ごしました。
その中で、自分にとって大きな出来事の1つは、
ずっと迷っていたショート・ヘアにしたことです。
見た目が少し変わっただけで、新鮮で気持ちが良いと感じたのは嬉しい発見で、
新しい気づきは色々なところにあるものだなぁ、と思いました。
 
 
頭が軽くなったことで「重み」が恋しくなったのか、
秋からの服には、久しぶりに腕時計を合わせたくなりました。
そして、「大きめの、ボーイズサイズがいいな・・」と考えたところで
会社員時代の20代の頃にもそういうタイプを好きだったことを思い出し、さらに
『流行は20年サイクルでやってくる』という 懐かしの業界用語が浮かんできて、
ハタと気付いたのです。
そう、まさに『周期』。ぴったりです・・!
(個人的な流行ですけれども・・^^;☆)
 
 
と、いうことで、
押入れの引き出しの奥で眠っていた時計たちを 出してみました*
 

 
左は『リトモラティーノ』のもの。
直径3cmほどのごろんと分厚いドーム型と、
数字の6の部分の 時間によって変わる月と星の絵、
シルバーとゴールドとブラックのバランス、全部が大好きでした。
右は『ハミルトン』のもの。
違うテイストのものを探していたところ、
スクエアの文字盤の上下の隙間と 上の真ん中にあるリューズが、
仕事着のシャツや、ニットの長めの袖口に 抜け感を作ってくれそうで、
一目で好きになりました。
 
 
シュンが小さい間は 当たってケガをしたら大変だと、
その後は 携帯電話があるから不要だと思って遠ざかっていた腕時計ですが、
久しぶりにつけてみると、やっぱりいいな、と思います。
 
時間は本当はその中に流れていたりする、・・かもしれません^^*☆
 
 
 
 
 
押入れの中の本棚で、こちらも見つけました。
 

 
『ヴァンテーヌ 最終号』。
1989年に創刊され、2007年末に廃刊となったファッション雑誌です。
上質で高価格の服は、私にはとても手が届かないものばかりでしたが、
美しい写真と、おしゃれを誠実に考え、分析したアドバイスから、
「甘辛バランス」や「地味色に差し色を加えること」など
多くのことを学ばせてもらいました。
20代の頃、ずっと購入していました。
 
「買わせる」ための媒体という宿命でありながら、最大限 読者のことを考え、
作り出される流行にただ乗っかること、安易に購入することを否定して
おしゃれをすることの幸せや意味を 教えてくれた、
時間を経ても 繰り返し読み返すことのできる雑誌でした。
ここまで深く掘り下げてくれるものには、その後 出会えていません。
廃刊は本当に残念で、好きなページをファイルしたものと この最終号は、
ずっと残して置こうと思ったのでした。
 
 
『・・(おしゃれとは)、独りよがりの個性を主張することでも、
 自分のスタイルを誰かに誇ることでもなく、ましてや突出したセンスの良さを競ったり、
 やみくもにひとまねをしたりするということでもない。
 自分の中から自然に生まれる喜びや美への感動を外に向かって発露する、
 そのひと固有の感受性が形になったものではないだろうか。』
                   (最終号・光野桃さんの特別寄稿より。)
 
 
まだまだ難しいことも多くて、失敗もするけれど、
自分なりに考えながら、おしゃれを楽しんでいきたいと
改めて思いました。
 
 
 
 
 

最近のことなど

 
 
7月に入り、東京は梅雨空の毎日になりました。
我が家は リビングが すっかり『夏のおまつり』モードです^^♪
一角をおまつり専用スペースにして、毎日少しずつ準備を進めています。
わくわくするしながら待つこの期間が、いつも とても好きです*
あと2週間。 待ち遠しいです・・!
 
 
ブログでは先日、6月20日(土)から24日(水)にかけて『ポラリスの物語』を、
その後25日(木)と26日(金)に『P☆snapshots』を、
翌27日(土)にコンベンションのお知らせを 更新しました。
8日間続けての更新は今回が初めてで、最後の記事が書き終わったときには
「あ、今頭の中が空になった・・」という、嬉しい充実感がありました^^*
お読み下さってありがとうございました。
物語はまだ、大きく動き始める入り口に立ったところですが、
新しいベアたちの登場を待ちながら、少しずつ進めていきたいと思います。
これからも どうぞよろしくお願いします。
 
 
 
***  ***  ***
 
 
そういうわけで、久しぶりに家にいる時間が長かったので、
ローズマリー(先月ご紹介したものです)の飲み物を、色々と試してみました。
 
ハーブの効能については、まだ明らかでない部分も多いものの、
香りですっきり リフレッシュできるところが、好きです。
エスビー食品のHPによると、
ローズマリーには抗酸化作用がある、という研究結果もあるそうです・・*
こちらの下の方です。フードファディズムにもきちんと言及されています。)
好評だった2つをご紹介します。
 
*ビネガー・ソーダ*

上の写真は、ローズマリーの枝(木質化していない部分)を酢につけたものです。
数日置くと、まろやかで甘みを感じる酢になります。
これに、レモン果汁、オリゴシロップを入れてかき混ぜ、
炭酸水を注いで出来上がりです。
 
シュンはここに、ゆるく固めてクラッシュした寒天を入れたい、と言いますし、
暑い時期には、タッパーにスライスレモンと入れて凍らせても楽しめそうです。
 
 
*ハーブティー*

ステンレスポットにローズマリーの枝(上と同じく柔らかい部分)を入れ、
熱湯を注いで5分ほど置きます。
別に、ペパーミントティーを(こちらはポンパドールのもの)を作ります。
カップにオリゴシロップを入れ、2つを好みの割合で注いでかき混ぜて出来上がりです。
 
カモミール、ローズヒップ等のハーブティーとのミックスも試しましたが、
松やにのような匂いが強くなってしまいます。ペパーミントが一番合いました。
 
 
ローズマリーにくせがあるので、はちみつよりもオリゴシロップが合う気がします。
蒸し暑いときには、ビネガー・ソーダ、肌寒いときにはハーブティー、と
分けて飲むのもまた楽しいです^^*
 
他のハーブや、複数を入れたりしても また違った味わいを楽しめそうなので、
色々試してみたいと思っています。
 
 
 
***  ***  ***
 
 
5月13日に終了した『村上さんのところ』を読んで、
(5月にこちらでご紹介しています)
私は、子供のころに こういうお悩み相談のようなやり取りが好きで、
よく、新聞や父の買ってきた雑誌で 探しては読んでいたことを思い出しました。
それでまた読みたくなり、探しました。
 

河合隼雄さんの『Q&A こころの子育て』と 
上野千鶴子さんの『身の下相談にお答えします』です。
 
上野さんの本は、朝日新聞土曜版に掲載されたものなのだそうですが、
題名の点で、購入には少々気合いがいりました・・^^;
実際には、そういう内容は全体の6~7分の1程度だったのですが、
今はこういうことも新聞紙面に赤裸々に掲載されるのだなぁ・・と、
そのことも興味深いです。上野さんの文章だからでもあるのでしょう。
堂々と語るのは難しいですが 大切なことなので、
質問されたかたも上野さんも 勇気があってすごいと思います。
 
今回は、母が子に及ぼす影響の大きさ、
無意識のうちにも支配してしまうということと、
がんばること、耐えることの善し悪しについて 特に考えました。
多面的な視点を身につけていきたいと思いました。
 
 
心のこと、心の傷のこと、互いに及ぼし合う影響のことを、
もっといろいろと知りたいと思います。
おすすめのお悩み相談本や対談本がありましたら、
お会いしたときに教えていただけましたら嬉しいです。
よろしくお願いします・・*
 
 
 
 
 

ローズマリー

 
 
関東は今週、梅雨入りしました。
今年は早くから夏の気温になったので、もしやと思いましたが、
律儀にやってくるものなのですね。 面白いです^^*
 
 
暑さと雨のおかげか、ローズマリーがとっても元気で、
新芽もたくさん出てきました・・!
 

 
 
自転車とダストボックス置き場の目隠しのために、
植物で緑の生垣を作ろう・・* と思い立ったのは3年前。
北側の、昼前から陰るこの場所に合うものを探したところ、
年数はかかるけれど、ローズマリーが良いらしいと知りました。
 
ローズマリーは、
丈夫で、暑さ寒さに強い、育てやすいハーブの木です。
夏前には蒸れ対策に、冬前には日光を通すために剪定をしますが、
それ以外は特に手入れの必要がなく、放っておいても育ってくれます。
乾燥が好きで、土を選ばず、半日日陰でもOKなのです。
 
そこで、15×200(cm)のスペースに、20cm弱の株を5つ植えました。
 
 
 

 
上は2014年2月(1年4ヶ月前)の様子です。
一重のスヌード・考』でご紹介した雪だるまの隣に写っていたものです。
当時は、痩せて色も悪かったので、日当たりのせいかと心配していたのですが、
1年前、昨年の梅雨の頃になって、突然元気に成長を始めました。
 
ただ、自由に任せていたら、秋にはヘビの山みたいになってしまったので^^;
冬前の剪定時に思い切ってカットし、枝どうしを結んで形を整えました。
 
 
 
そして今年ついに、大部分が上に向かって新芽を伸ばしてくれたのです・・*
まだ揃っていなくて隙間も多いですが、高さも100cmほどになりました。
 

厚みも課題です。明日また少し剪定します。
 
 
これからも、剪定を重ねながらゆっくりと成長を待って、
数年後には、120cmくらいの きれいな生垣に育つといいな、と
思っています。
 
 
 
 
***  ***  ***
 
 

先日ご紹介した本のうち2冊を読みました。
 
三浦しをん『舟を編む』
題名と後ろの説明から、静かなしっとりとした物語を想像していたのですが、
ライトでポップで、文章がちょっと私の呼吸と合いませんでした・・(><。
漫画のような画像を頭に思い浮かべながら、テンポ良く読んでいくタイプの
お話かもしれないと思いました。
 
村上春樹インタビュー集『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです』
インタビューは苦手だと、以前どこかで読んだことがあるので、
見つけられたときは、とっても嬉しかったです。
ご自身のこれまでのこと、創作に必要なことなどが丁寧に語られていて、
読みごたえがありました。
 
 
本との出会いも、色々あって面白いですね^^☆
雨が多くなる前に、また本屋さんめぐりをしようと思います。
 
 
 
 

「村上さんのところ」と
   村上春樹さんのこと

 
 
村上春樹さんが、読者からの質問に答えるサイト
村上さんのところ』が、
5月13日(水)14時までの期間限定で公開されています。
(質問は1月末締切、回答は4月末終了です。)
村上さんの、穏やかな 愛ある回答を、
毎日少しずつ、楽しみに読ませてもらっています*
 
 
実は私は、村上春樹さんの文章は好きですが、小説は読めません。
学生時代に『ノルウェイの森』を読んで、
その すりガラスで隔てられたような虚無感は受け入れられない・・と感じたのです。
みんながとてもいいというので、どこかに入り込めるところがないかと
『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』も
読んでみましたが、無理でした。
 
それからも、気持ちの奥で気になり続けていて、
20代の終わりに もう一度『ノルウェイの森』を読み返したのですが、
感じかたは変わりませんでした。
 
たぶん、主人公の人との関わりかたが、苦しかったのだと思います。
 
私は、人との深いかかわりを求めてしまう自分が、
そのままでは 時代の雰囲気、周りの空気と合わないことは分かっていて、
出さないようにして、なんとかうまくやっていたつもりでした。
でも、あの 社会現象になるほどの受け入れられかた・・。
かすかに求めることも 無理な願いなのかと感じて
息苦しくなってしまったのだと思います。
 
 
でも、小説以外はとても好きです。
優しい文体に合う温かいまなざしが途切れる心配がないからです。
(小説は、最後にふっと消えてしまいますよね。)
本来の村上さんはこっちの人なのかな、とか、
小説で重苦しいところを出し切っているからなのかな、とか
色々なことを考えながら、その時どきに惹かれたものを読んできました。
 
 
そして1年ほど前、『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』でやっと、
探していた答えの 手掛かりに触れたような気がしました。
 

平成8年、20年近く前の刊行です。
 
コミットメント(関わり)とデタッチメント(関わりのなさ)に触れた章で
デタッチメントからストーリー・テリングへ、そしてコミットメントへと
段階的に移ってきたのだと書かれているのです。
そして、下のようにも 書かれています。
 
「コミットメントというのは何かというと、
人と人との関わり合いだと思うのだけれど、これまでにあるような、
『あなたの言っていることはわかるわかる、じゃ、手をつなごう』というのではなくて、
『井戸』を掘って掘って掘っていくと、そこでまったくつながるはずのない壁を越えてつながる、
というコミットメントのありように、ぼくは非常に惹かれたのだと思うのです。(84ページ)
 
関わりのなさ、は、関わりの否定ではなかったのでした。
そして、受け入れられないながらも 気になり続けてきた理由が
少し分かったような気がしました。
 
 
ただ、理解を深めようとすると まだ障害があります。
『ねじまき鳥クロニクル』です。
本によると、ここに井戸を掘る話があるそうで、
そのことがコミットメントについての理解にも繋がっていくようなのですが
私は残酷な描写が本当に苦手で、
必然性があるといわれても、全く受けつけないのです・・。
 
そういうわけで、
「読めるようになる日」の実現は難しい気がするのですが、
小説の周辺をぐるぐる回りながら、考えを深めていくような、
そんな関わりかたもあっていいのかもしれない、とも 今は思っています。
 
 
 
長い時間を、自分の全てをかけて、深く掘り下げていくような関わり。
私はずっとさびしくて、そういうことを求めて生きてきたけれど、
この先もやっぱり、そうして生きていこうと思います。
 
 
村上春樹さんと同じ時代に生きていられて幸せだな、と思います。
 
 
 
 
 

『ユーミンの罪』

 
 
酒井順子さんの「ユーミンの罪
(講談社現代新書 2013年11月発売)を、読み始めました。
最近、昼間ひとりで電車に乗ることが多いので、その時間に読んでいます。
 
酒井さんのエッセイの、根底に対象への愛情を感じられるところと、
ほんわかとしていながらも 潔くて鋭いところが好きです。
軽やかでテンポの良い文章を読み進むうちに、笑えて、気づけて、
なるほど~*と、世の中を見る視点を増やしてもらえます。
 
 
私がユーミンをよく聴いていたのは、大学生から20代前半ごろでしたが、
大学の学部は、女の子が1割ほどしかいないところで、
ゼミの同学年には私一人だけ、という環境だったため、
Tシャツにジーンズにリュックをしょって、苗字で呼ばれるのが私の日常で、
みんな仲良しで楽しかったですし、男子扱い^^;ながらも
「河村、いるか?」などと 気遣ってもらって 居心地は良かったのですが、
華やかな女子大生というイメージとは違っていました。
 
それでも、1つ年上の きれいで憧れられている先輩を羨ましく思ったり、
時々、重い荷物を横から手伝ってくれる同級生の子にドキドキしたり、など
出さないようにしていた感情も、年頃なりに色々あって、
ユーミンの歌が寄り添ってくれたことも、たくさんあったような気がします。
なつかしいです・・^^*
 
 
今ちょうど3分の1あたりなのですが、
例えば恋愛の、失恋の場面において「ダサいから泣かない」女性が
80年代以降急速に増えていったという考察、
助手席性から、恋愛と自己愛とが分かちがたくなってきた時代背景を切り取るところなど、
やっぱりすごいなぁ、と思いながら、楽しく読んでいます。
ユーミンが常に時代を先取りしていた、というのはよく言われていることですが、
酒井さんのおかげで、ここからも、あそこからも読み取れることがよく分かって、
改めて、ユーミンのすごさについても再認識しました。
 
 
本は、アルバムを抜粋して発売年ごとに並べる形になっていまして、
私は、「PEARL PIERCE(1982年発売)」から
ちょうど、本の最終章の「DAWN PURPLE(1991年発売)」までをよく聴いていました。
どういう結びになっているのか、楽しみです。
 
そして、手に取って最初に浮かんだ曲『Good-bye Goes by』と、
いちばん好きな『ふる時』のことが出てくるのかな、と
そのことも、楽しみです*