扉 2 (P☆snapshots 191)

 
 
・・そうか。 ぼくは、
 
ずっと、「だいじょうぶ」って思っていたんだ。
ずっと、’忘れていたかった’んだ。
 
ポラリスでの ぼくのこと・・。
 

 
 
 
 
もう、思い出せないくらい ずっとずっと前のこと、
カズキが、きれいなおひさま色の毛糸で ぼくを作ってくれて、
シュンが、柔らかく優しい色のクーピーで、ぼくの遊園地を描いてくれた。
 
ふたりは ぼくのことが大好きで、いつも ぼくを抱っこして、
嬉しそうにぼくの話をしていた。
 
 
遊園地はやがて、ぼくが仲間のベアたちと暮らす『星』になって、
ぼくは、ポラリスと名付けられたその星を守る、『太陽』になった。
 
 

 
 
 
ポラリスでのぼくは、
森も花畑も川も橋も、学校も図書館もグラウンドも、
そして、鳥もちょうちょも、ベアたちさえも、
思い浮かべるだけで 創り出すことのできる、唯一の存在だった。
 
星のみんなが 楽しそうに暮らしていたから、
ぼくは嬉しかったし、誇らしかった。
「もっともっとがんばろう」と、思った。
 
 
けれど・・・
 
 

 
 
そう、ぼくは 全く同じ理由で、「大丈夫」って思ったんだ。
心の深いところにある『太陽であり続ける』ことへの違和感から、
目をそらしたんだ。
 
 
 
そして、
いつしか黒い影のようなものが 離れなくなってしまったぼくの心は、
あの日のシュンの呼ぶ声にすがって、答えを託して・・・。
 
 
 
 
ああ・・・。
 

 
やっと、分かった・・。
 
ぼくは、助けるつもりでいながら、助けを求めていたんだね・・。
心に蓋をして、たくさんの気持ちを止めたまま。
 
 
そして、
 
そんなふうに 自分が分からなかったぼくだから、
大切なひとたちのことも 深く感じられなかったんだね・・。
 
 
 
 
ぼくは、変わりたい。
 
大切なひとたちのことを、世界のことを、ぼく自身のことを、
もっと深く知りたい。
 
 
変わりたい。
 
変わりたいよ・・。
 
 
 
 
 
 

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