『やさしい訴え』 その後

 
 
月曜日になって、ブログを整理していたシュンが、
「『やさしい訴え』かあ・・」と言うので、はっとして、
「それは結婚する前、ずっとずっと前の話だから・・」と
つい、力を込めて説明してしまいました・・^^;
 
でも、実は自分でも、どんな必然性があったのだろうかと、
少し考え込んでも いたのでした。 
 
 
数日後、シュンの用事を待っている間に立ち寄った書店で、
今度は、小川洋子さんのエッセイを見つけました。
『カラーひよことコーヒー豆』という題名の、その文庫本は、
雑誌Domaniに連載されていたエッセイをまとめたものでした。
私と同じくらいの年齢のころに書かれたものと知り、
迷わず、読むことにしました。
 
小説と同じ、繊細な言葉と文章のまま
日常のことを やさしく温かく語られていて、
どの内容も、すっと心に入ってきました。
 
中でも、救われたような気がしたのが、
『ただごとでない人生』です。
 
人生について、私は本当に分かっていませんでした。
それどころか、少しずつ楽になるものだと信じていたのです。
打ちのめされて初めて気付き、
なんて浅はかで愚かだったのだろうと、
今でもまだ愕然としているくらいです。
 
でも、誰もが「少しずつ、ただごとでないのが分かってくる」ものなのだと、
小川さんも同じように感じたことがあると知って、
胸につっかえていた苦しさが、すっと小さくなった気がしました。
 
 
読み終えると、気持ちが軽くなったのか、ふいに、
なぜ昔を思い出したのかが 分かった気がしました。
 
私は、自分で決めて、自分で断ち切って、
きれいに終わらせたつもりでいたのですが、
やっぱり悔しかったし、悲しかったし、怒ってもいたのでした。
でも、当時はそれを認めることができなかったのです。
 
「私だって・・」と、『やさしい訴え』の中で、
瑠璃子が自分の思いに向き合っている部分があります。
そこに 触発されたのかもしれない、と思いました。
 
ー 私だって、苦しかった。
 仕事では、前向きで強くいなくては、やっていけない部分もあった。
 そのことを、本当は誰よりも彼に、理解して欲しかったのに。
 励まし合って生きていけると思っていたのに・・。
それが、私の本心なのでした。
 
 
今回、本に「呼ばれた」のは、
その部分、自分の考えかたや人との向き合いかたの癖のようなもの、を
改めて見つめ直す必要があるから、だったのかもしれません。
 
今はまだその途中で、うまく言い表す言葉が見つかりませんが、
小川さんのこのエッセイまでを読んで、そこに、
この先の人生につながっていく答えがあるのかもしれない、と
感じました。
 
いろいろあるけれど、やっぱり人生は愛おしいです。
大切な人たちを きちんと愛して、前を向いて生きていきたいと、そう思いました。
 
 
 
 
 
 

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