さよなら ルーポ (P☆snapshots 144)

 
 
春の、2度目の赤い月のあとに やってきたルーポ
ポラリスの、湖のそばのふるさとへ 戻っていきました。
 
その腕に、おひさまの光を集める力を持つルーポは、
深い森ではない我が家にいると、どうしても光が集まり過ぎて、
厳しい暑さになってしまうことを気にしていたのでした。
 
 
決心を伝えてくれたのは、8月の お盆のころでした。
 

「ぼくは、ポラリスに帰ることにしたよ。」
 
 
それは、予想もしていなかったことでした。
 
 
彼には、コンちゃんたちだけでなく、私たちも助けてもらいました。
(「P☆snapshots 134 -雲の向こう-」)
それなのに、
彼を助ける方法を見つけてあげられないまま帰してしまうなんて、
どうすれば良いのか分からなくなってしまいました・・。
 
 
 
すると、ベアたちが教えてくれたのです。
 
ブラウン・キャンディー*ベア

 
「誰にとっても そうなのだけれど、
 その性質のプラスとマイナスは、同じ量 存在していて、
 都合よくコントロールするのは難しいものだと、ぼくは思うんだ。」
   
 
 
ホワイトジュエル・ベア



 
「そう、光と影は一対のものなのに、光を増やして影を消していったら、
 いつか、世界が見えなくなってしまうように・・。」
   
 
 
アスティファーのベア

 
「それならば、ルーポがそのままでいられるポラリスで暮らすことが、
 彼にとっての幸せかもしれないわ。」
   
 
 
ベイビーmuflone・ベア

   
「ぼくの友だちにもいるよ。ポラリスを はなれたくないひと。
 ポラリスも、こっちの世界と同じくらい、いいところだから・・・。」
 
 
 
はっとしました。そして、心に突き刺さりました。
おかげで目が覚めました・・・。
 
 
 
 
 
ルーポがいなくなって
8月の最後の一週間、毎日のように雨が降りました。
それは、さびしさと一緒に
凝り固まった心の澱を洗い流してくれるような、静かな雨でした。
 
 
 
そして、9月の始まりの日の今日、
午後になって 久しぶりに少し、明るい陽ざしが射し込みました。
 
 
移り変わる季節の中、すべてのものが変わっていきます。
もしもいつか、ルーポにとって幸せな変化が訪れたなら、
また、会いたいです。
 
 

 
彼がずっと、幸せでありますように。