小さな願い
ある日、
不覚にもオレは「帰りたい」と思った。
あの 毛糸玉のあふれる家に。
オレは世界で一番強く、クライアントの依頼は絶大で、
任務遂行において 迷ったことなど、ただの一度も なかった。
しかし、ふと 感じたのだ。
これは、望んだ人生だろうか。
オレは、何を守りたいのだろう。
・・わからない。
そして、この星に来た。
巨大なうさぎの月。
吸い込まれそうに透明な湖と、深く豊かな森の・・。
「強く願う」 のだと、あいつは 言った。
「ぼく、
『おひさまみたいな
オレンジ色になりたい』
って、お願いしたんだ*」
強く、願う。
オレはただ、
オレの思う人生を、生きたい。
ひとに、景色に、
ささやかな喜びを見い出せるような。
・・ああ。
この懐かしい、風景は・・・・。
「おかえり、カイト!」
「待っていたよ。カイトさん*」
*** *** ***
・・・え ?!
*次回に続きます*