『ニートの歩き方』

 
 
お正月の休み明けにNHKの教育テレビに出演されていた、
京大卒・ニートの phaさんの本を読みました。
 

 
*ニートとは*
学校に通わず、独身で、収入を伴う職業についていない(労働意欲に欠ける)若者のこと。
内閣府の定義では、15歳から35歳までを対象としている。 (三省堂の辞書より)
 
 
 
『ニートの歩き方』は、phaさんが実践している
「あまり働かない生き方」について書かれた本です。
2012年8月に出版されました。
 
「かつての僕と同じように「人間はちゃんと会社に勤めて真面目に働いて結婚して
幸せな家庭を作るのが当たり前の生き方だ」という社会のルールにうまく適応できなくて
しんどい思いをしている人が、いろいろな生き方があると知ることで
少しでも楽になればいいな、と思って書いたものだ。 (『はじめに』より)」
 
インターネットの発達により可能になり、そして
その大部分がインターネットに支えられているという 彼の生き方について、
人との関わりかた、経済のやりくりのしかたから、
どのようにしてたどり着き、先々をどんなふうに展望しているのか まで、
各章にわけて、具体的かつ丁寧に書かれています。
 
・第1章 ニートのネットワーク -僕がニートになった理由
・第2章 ニートの日常風景 -コミュニティとゆるい生活
・第3章 ニートの暮らしかた -ネット時代の節約生活法
・第4章 ニートのこれから -社会・人間・インターネット
 
 
主に その生活を楽しんでいる様子が書かれていますが、
一方で、ニートという立場を貫くには、恋愛、結婚、子育てが難しい点にも、
ネガティブな捉えかたではありませんが、触れています。
中でも、一番厳しいかもしれないのが老後だそうです。
金銭的な備えが見込めない分、居心地はよいけれど血縁ではなく、
義務も約束もない現状のつながりを、助け合い関係にまで築けなかった場合には、
相当悲惨な状況に陥る覚悟が必要なようです。
 
でもphaさんならば、進む道の途中できっと、ベストな解決策を探し当てて、
提示してくれそうな気がします。
 
 
書かれていることが心に入ってくるのは、
彼が ただ楽をして稼いで、嫌なことから逃げ続けたい、からこの道を選んだのではなく、
子供の頃から、学校生活に適応できない自分に悩んだり、
既存の社会の仕組みや枠に苛立ったり絶望したりし続けてきて、
学生生活の後、会社員生活もして、20代の終わりにようやくたどり着いたという、
人生に真摯に向き合っている姿に、励まされるからだと思います。
 
きっと、大切なのは そこなんですよね。
生きることについて、とことん考え抜いて、心が本当に望む道を進んでいく。
さらに、うまくいくように努力と工夫を続けていく。
悩んで考え抜けば自分にとっての幸せがわかり、実現できるのだ、という希望が
見えてきます。
 
 
働くことに さまざまな考え方、やり方があることについて、
ニートの人も、そうでない人も含めた社会全体がもっと寛容になる中で、
これまでにはない、新しい概念の仕事が生まれていったら素晴らしいな、と
そして、どんな生きかたを選んだとしても、
自分の人生を大切にすること、あたたかい繋がりという支えを信じることによって、
人はもっと強くなれるし、幸せになれるのだ、と思いました。
 
 
 
 
*phaさんのプロフィールなどは、NHKの番組サイト
 『ブレイクスルー File.46 自分の幸せは、自分で決める ―ニートのカリスマ phaさん―』に、
 コンパクトにまとめられています。
 
*『幻冬舎plus』に、2015年5月に同社から出版された
 『持たない幸福論 働きたくない、家族を作らない、お金に縛られない』 の紹介を兼ねて
 その生き方、考え方についてのご本人の文章を掲載しています(現在は登録なしで読めます)。
 ・6月25日公開の前編「生きるのがつらい人が多すぎる
 ・同28日公開の後編「「普通」の縛りから抜け出せば、もっと楽に生きられる
 
 
 
 
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こちらはシュンの お勧めの本です。
 

 
 
 
 
   イーストプレス社
   『よりみちパン!セ』のサイトから
   画像をお借りしました。

 
「ロボットは東大に入れるか」は、
この本の著者である 国立情報学研究所(NII)の新井紀子教授を中心に、
2011年4月にスタートした、人工知能(AI)のプロジェクトです。
・2016年度までに大学入試センター試験で高得点をマークすること
・2021年度に東京大学入試を突破すること  
AIの「東ロボくん」は、この2つを目標に がんばっています。
 
本は、AIに詳しくなくても読めるように、わかりやすく書かれています。
「現段階では問題文の意味を理解するのが難しい」など
人間とはまた違った得手不得手を抱えながら成長していく 東ロボくんの様子が
なんともかわいくて、読み進むうちに親しみが増していきます。
わくわくする、夢のあるプロジェクトです。
 
ただ、残念なことに現在はインターネット上では販売されていません。
シュンが「家に置いておきたい!」というので、書店を探してもいますが見つかりません。
絶版でないといいのですが・・。
 
 
インターネットで調べたところ、2015年11月14日に発表された最新の状況は、
同年6月実施の(株)ベネッセコーポレーションの“進研模試 総合学力マーク模試”に挑戦し、
5教科8科目で511点(全国平均416.4点)を獲得し、偏差値は57.8だったそうです。
特に「数IA」で偏差値64(前年46.9)、「数IIB」で65.8(同51.9)、
「世界史B」で偏差値66.5(同56.1)と、計3科目で偏差値60を超え、
前年を大きく上回る成果を収めたとのことです。
 
また、論述式で行われる2次試験に向け、
駿台予備学校「東大入試実戦模試」の一部科目も受験、初めて世界史に挑戦して、
偏差値54.1を記録しています。(無回答欄もあるところが 人間っぽいです^^*)
 
東京大学入試を突破する目標の2021年まで、あと5年。
がんばれ、東ロボくん^^!
 
 
 
 
*「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトのホームページはこちらです。
*最新状況についての(株)富士通研究所のプレスリリースはこちら
 ITmediaの記事はこちらです。
 
 
 
 
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  phaさんがあとがきの最後に
  書かれていた言葉から、
  カイトが帰って来たときのことを
  思い出しました。

P☆snapshots 29
 
不安を消し去ることは難しくても、
新しい技術と価値観を手にする未来、希望に満ちた未来は確かに開けていて、
私たちは、その入り口に立っているのだという気がします。
 
明るい気持ちで進んでいこうと思います。
 
 
 
 
 

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